熱海に息づくジャポニスム「旧日向別邸」(ブルーノ・タウト)

19世紀、ヨーロッパに空前の日本ブームがあった。ゴッホ、ルノワールと言った画家だけでは無く、例えば音楽家のドビュッシーは、浮世絵からヒント得た作品を作曲いている。

 ドイツの建築家のブルーノ・タウトもその一人であった。本国では斬新な住宅や都市作りを手がけ、モダニズムを実践したこの建築家は、1933年その手腕が認められ日本に招聘された。タウトはすぐに、もともと関心のあった桂離宮を訪れ、その魅力にとりつかれる。

 その後、日本で多くの建築や工芸に触れる事になるが、彼自身に日本の建築を手がける機会は中々訪れなかった。そんな中、貿易で財をなした日向利兵衛が、