降る如く虫時雨聞き茶を点てる

 金銀の虫籠の外の虫時雨  小松原みや子

 月あらば十日頃らし虫時雨  森田峠 避暑散歩

 月育つ一夜一夜の虫時雨  深見けん二 日月

 玄室の暗きに入りて虫時雨  塩川雄三

 御所偲びまつるいづこも虫時雨  殿村菟絲子

 昂ぶれば悪女にならん虫時雨  真嶋つぎえ

 水飲んで轆轤にもどる虫しぐれ  渡辺昭

 水注いで甕の深さや虫時雨  永井龍男

 睡るまで身をつつみをり虫時雨  朝倉 和江

 生きて知るソ連崩壊虫しぐれ  三橋敏雄

 青松虫時雨新宿三丁目  片山由美子

 虫時雨爽やかな宵けざやかに  アロマ

 虫しぐれ原つぱに寝て