昆虫から採取された真紅の染料

 川瀬七緒の「紅のアンデッド-法医昆虫学捜査官-」を読了した。著者は、服飾デザイナー出身の推理作家で、2011年の第57回江戸川乱歩賞を受賞して作家デビューいる。本書は「法医昆虫学捜査官」シリーズの第六作である。なお、「法医昆虫学」とは、死体に涌く虫の生態と成長速度から、死後経過や犯罪環境などを割り出す学問である。
 「科捜研」の再編成に伴い、犯罪心理学・技術開発部と併せて「捜査分析支援センター」が創設されたため、従来は警視庁に仮採用の状態であった主人公で法医昆虫学者の赤堀涼子は、本作では正式採用になっているが、正式採用の結果として束縛されることも増えて