街角に時雨過ぎつつ夕茜 

 自転車を漕ぐ子と父の夏果てて坂の上なるかなかなしぐれ  三枝昂之

 臘梅や枝まばらなる時雨ぞら  芥川龍之介

  自嘲うしろすがたのしぐれてゆくか  種田山頭火

 茶団子に日の当り来し時雨かな  石田波郷

 茶炭焼く見せ窯ひとつ時雨れけり  手塚美佐 昔の香

 菜畑のしぐるる宵の女人講  大峯あきら 鳥道

 蒟蒻の湯気暖かに時雨かな  猿雖

 茶店に玉蒟蒻食べ時雨来る  アロマ

 藁塚の遠重なりに時雨けり  岸風三樓

  藁塚やさざめきわたる幾しぐれ  木下夕爾

 軒提灯の揃ひともりぬ夕時雨  金尾梅の門 古志の歌

 身を入れて