連載:久住高原へ

久住高原へ その2

 露天風呂を出て部屋への帰り道。点々と置かれた踏み石を伝って歩いていくと、青々と葉を茂らせた一角が目にとまった。晩秋の色に染まることもなく、緑色をたたえ白い花さえ付けている。クローバーだった。

「クローバー。別名、シロツメクサ。
江戸末期、オランダから長崎の出島に運ばれてきたガラス製品の詰め物(割れないように)として、乾燥ツメクサが
日本に入って来て、その種子から全国に広まった」

長崎の出島史料館で、ツメクサのことを書いた記事を読んだのを思い出した。

未知の国 日本に来ても、北海道から沖縄まで広がる生命力があったからこそ、みんな枯れてしまったような