連載:久住高原へ

久住高原へ その3

    
 食事処へは、また迷路の角々を何回も曲がり、スロープを登って
行かなければならない。
今、午後6時ちょっと前。日も落ちて薄暗くなり、廊下には電気が点々と灯されている。幸いなことに、それほど寒くはない。
夫は、益々モグラになった気分だろう。私が先導して、階段があるところ、凸凹があるところなど教えながら歩を進めた。
歩くこと数分で食事処に着いた。夫にとってはモグラ穴の終点である。それにふさわしく、突き当りの席。照明も少し控えめで落ち着いた雰囲気である。
いつもの様に、最初は生ビールを注文。その間に置いてあった食前酒で乾杯した。
梅酒とはちょっと違う