青虫

 堤防を歩いていると道のまん中に青虫がころがっていた。丸まっていたので右側からきて左側に向かおうとしていたのか、それとも右側の草むらから左側の草むらに向かっていたのかわからなかった。

 このままでは青虫はジョギングおじさんのシューズの下敷きになるか自転車のタイヤに踏みつぶされてしまう。せっかく生まれ出たのに、この世界からモンシロチョウが一羽消えることになる。

 持っていた傘の先っぽで青虫を転がし、とりあえず右の川側の草むらに退避させた。そのあとそのまま歩きつづけたが、しばらくたってから、ふと、考えた。

 あの青虫は、もしかすると右側から左側に向かっ