「死ねば死にきり。自然は水際立っている」

吉本隆明さんが『老いの流儀』という著書のなかでつぎのように語っておられます。

〈 身体とそれに伴う精神の死について、僕のいちばん好きなことばがあります。それは高村光太郎の詩のなかにある『死ねば死にきり 自然は水際立っている』ということばです。死ねば死にきりで、自然は見事なものだと高村光太郎は言ってるわけでしょう。僕は、人間の心身の死はこれでいいのではないかと思っています。 〉


死ねば死にきり。なんとすっきりした死生観ではありませんか。

わたしは若い頃から傲慢人間と言われ、「自分が死ねばこの世界もなくなる。地球だって宇宙だってなくなる」なんて言って