高村光太郎をどうしようもない孤独感から救ってくれたのが長沼智恵子の存在となり、大正3年から東京のアトリエで同棲としている。 今でいう夫婦別姓・半別居婚の自由な形の結婚生活でした。智恵子は長沼姓を名乗り、一年のうち数か月は実家の福島で過ごしていました。 結婚から十数年後の智恵子は、統合失調症の兆しが現れる。 あなたは僕を頼み あなたは僕に生きる それがすべてあなた自身を生かすことだ *…
吉本隆明さんが『老いの流儀』という著書のなかでつぎのように語っておられます。 〈 身体とそれに伴う精神の死について、僕のいちばん好きなことばがあります。それは高村光太郎の詩のなかにある『死ねば死にきり 自然は水際立っている』ということばです。死ねば死にきりで、自然は見事なものだと高村光太郎は言ってるわけでしょう。僕は、人間の心身の死はこれでいいのではないかと思っています。 〉 死ねば死にき…