饅頭茶漬け

明治の文豪は甘いもの好きが多かったようで、森外はその旗頭といってもいいようだ。
 とりわけ、あんこに目がなく、あろうことか『まんじゅうの茶漬け』を好んで食べたという。
 
長女の森茉莉が「貧乏サブァラン」というエッセーのなかで書いている。〈つめの白い清潔な手でそれ(饅頭)を四つに割り、その一つを御飯の上にのせ、煎茶をかけてたべる〉
嵐山光三郎の「文人悪食」にも著されていて、一躍知られるようになった文豪の食物嗜癖譚である。
わたしの父にも、外そっくりの食物嗜癖があった。
大酒飲みのくせして