連載:日常3

「紙飛行機」

踏切を渡ると小さな小さな鯛焼き屋がある。
「小豆を4個、二つの袋に分けてください。あっ、あったかいですね。」

私は鯛型が並んでいる銅板の上に手をかざした。
「これですよね、タイ焼きってこうして一列に並んでいるんですよね。この前甘酒横丁でたった一個ずつ焼く鯛焼き屋に行ったんです。大勢行列に並んでて。」

「ああ、あれね。ここのがもっとうめーよ。」
「そうなんです。ただ小麦粉を焼きましたっていう感じでちっとも美味しくないんです。」

今度は何度か立ち寄ったことのあるお店の前で足を停める。こちらも小さい。ご夫婦で野菜を作り、それをここで売っている。駅近の一等