薄闇に眠りの如く雪降れり

 あくがれし雪国に来て飛雪の夜  大島民郎

 あぢさゐの枯れて日当る根雪かな  藤田あけ烏 赤松

 あひ触れて深雪の廂夜は深し  福田蓼汀 山火

 あらき日の出あらき暮雪の泥炭地  細谷源二

 うつはりに鶏の鳴く深雪かな  吉田冬葉

 お涅槃のかたきまぶたや雪明り  前田普羅

 お白州の格子窓より雪明り  高澤良一 随笑

 お降りのうす墨刷ける深雪かな  西本一都 景色

 かぎりなく舞ひおりて雪明りとなる  千代田葛彦 旅人木

 かぎ括弧型に根雪のとけにけり  櫂未知子 貴族

 かくて暮雪持たざる人は鶴のごとし  細谷源二

 かまく