雑読散歩 -梅原猛さん逝く-

「この本を読むにさいして、読者はたった一つのことを要求されるのである。それは、ものごとを常識でなく、理性をもって判断することである。常識の眼でこの本を見たら、この本は、素晴らしき寺、法隆寺と、素晴らしき人、聖徳太子にたいする最大もの冒瀆に見えるだろう。日本人が、千何百年もの間、信じ続けてきた法隆寺像と太子像が、この本によって完全に崩壊する」

45年ほど前になるだろうか。取引先の可愛がってくれた当時の専務が、どういう経緯だったか覚えていないが「けんけんさん、面白い本があるから読んでみな」と貸してくれたのが梅原猛の「隠された十字架-法隆寺論-」だった。冒頭