梅の香の中にいる至福かな



 湯の町にもう早梅の匂ひあり 星野椿

 匂ひして隣の梅の見えぬかな  樗良

 匂ひしは夢にや見たる除夜の梅  松岡青蘿

 日の匂ひ風の匂ひて野梅咲く  中村芳子

 破れ鐘や梅の匂ひの浮き沈み  露川 俳諧撰集「藤の実」

 背戸川をかぎつて梅の匂ひ哉  夕兆

 梅が香の中を流るる梅が香も  後藤比奈夫 花匂ひ

 昼月の半分とけて梅匂ふ  中村静子

 朝月夜梅に飯たく匂ひかな  正岡子規 梅

 朝神楽尾山の杜の梅匂ふ  塩 由造

 潮ふくむ風匂ふ梅の朝かな  室生犀星 犀星発句集

 通るとき必ず梅の匂ふこと  稲畑汀子

 釣のいと