鶯の初音稚拙に春の雨

    「アロマ」の句


 鶯の初音稚拙に春の雨

 フェリーに車で乗船白波立てて 

 沿道の丈高い辛夷の白い花 

 空中に花粉飛ぶを意識して

 燕飛ぶを見し日ラジオにても言う

 連翹の黄の花眩し春の午後

 沈丁花薬の様なる匂い 

 山陰の駅ホームに蒲公英咲いて

 玉簾点るが如き白い花

 坂道に金雀枝の黄の鮮やかに


   「長谷川かな女」の句


 羽子板の重きが嬉し突かで立つ

 俎板の染むまで薺打はやす

 つれづれの人美しき睦月かな

 傍らの子にも初日のさして来ぬ

 嗽ぐ水まろくあり初明り

 初富士に珈琲さゝぐボーイあり