降り頻る雨「風呂の日」とや二月六日


 椎樫は風の棲む木の二月かな  鈴木しげを

 横町を竹馬が来て二月来て  松山足羽

  樹がひかり二月の畦は壊(く)えやすし  加藤楸邨

  橋も正坐の二月はじまる喪服ぬぎ  寺田京子 日の鷹

  橘や蒼きうるふの二月尽  三橋敏雄 *シャコ

 橡餅をうかべ二月の田舎蕎麦  大島民郎

  欠けそめし月のあはれも二月かな  久保田万太郎 流寓抄

  歎異抄に二月耐へゐぬうつ伏して  長谷川かな女 花寂び

 正月を馬鹿で暮して二月かな  鳴滝-秋風 選集古今句集

  歯朶の谷深く夕づく二月かな  松村蒼石 雁

  歳時記の二月は薄し野に