連載:ジョギング

「本物のお婆ちゃんになった」

朝起きてラジオを点けると、武蔵野線がストップしていると言う。霧のためだ。玄関を開けて驚いた。これほど深い霧が家の周囲で見られるなんて滅多にない。すぐに子供たちにメールした。

行くか。今日は自主練習の日だ。他にも用があるから早目に行って切り上げよう。

「市民の森」に着いて、まずは一周を歩いた。湿った空気が心地よい。もう喉もおかしくない。冬の森は見通しがいい。牧場に寝そべっている牛が見える。

向こうから一人で歩いて来る爺様や婆様にはこちらから挨拶する。すると、小学校の脇を4人が歩いて来る。ジョギングクラブの仲間だ。

「もう来ないかと思ってたのよ」