象の超能力

 深水黎一郎の「世界で一つだけの殺し方」を読了した。著者は、メフィスト賞出身のミステリー作家であるが、慶應義塾大学大学院後期博士課程単位取得退学(仏文学専攻)、パリ第12大学博士課程研究専門課程(DEA)修了という異色の経歴の持ち主で、「薀蓄」系のミステリーが得意とされている。本書は、「芸術探偵」神宮寺瞬一郎が登場する「薀蓄」系ミステリー二篇を収録した中篇集である。
 「不可能アイランドの殺人」:十歳の少女のモモちゃんは連休に、パパ、ママと三人で行く先不明の旅行に出掛けるが、到着したのは極普通の地方都市であったが、モモちゃんはその街で不思議な体験をする。