連載:自分史

− 子猫のメイ −

生家での客間暮らしが始まった。

抑うつ状態は続いていて、通院以外は家から一歩も出られなかった。

『うつ病で貧乏で無職の35歳』

毎日、死ぬことばかり考えていた。

病院帰りのある日、近所の電柱の下にふと目が行った。
紙袋が捨ててあるのだが、それが微かに動いている。
開けてみると、小さな赤ちゃん猫が入っていた。
触ってみると体がもう冷たい。
私はダッシュで動物病院に駆け込んだ。

先生:へその緒が付いたままだから生後1日か2日。母親の初乳も飲んでいないみたいだから育たないかもしれないよ

先生にはそう言われたが諦めることが出来なかった。
掌に赤ちゃん