第一次世界大戦終結の祝い

 ピエール・ルメートルの「天国でまた会おう」を読了した。著者はフランス在住のミステリー作家であり、「その女アレックス」を初めとする、パリ警視庁犯罪捜査部班長のカミーユ・ヴェルーヴェン警部を主人公とする三部作で著名である。本書は第一次世界大戦とその直後を舞台にしたピカレスク・ロマンであり、若い二人の復員兵による国家を揺るがす詐欺事件を描いた作品で、ゴンクール賞受賞作である。
 物語の舞台は1918年11月、第一大戦終戦直前のフランス北東部のムーズ川の畔で始まる。終戦を目前にして戦功を焦るフランス軍のアンリ・ドルネー=プラデル中尉は、部下の二人の兵士テリウー