5年前、コルカタの街を訪ねて

 30年ぶりに魅惑的なインドを再訪した。早朝からコーランが鳴り渡り、貧と富が混在する路上を、汗を拭いながらゴム草履に日傘スタイルで闊歩する。そこかしこに人々がたむろい、爆音を立てながら、車が人ごみに分け入る。エネルギッシュな街のど真ん中で、生きていることを実感した。
 長年、人間として崇めてきたマザーテレサの墓前に伏し、祈りを捧げる心洗われる魂の休息の後、マザーの児童養護施設シュシュババンのボランティア活動に携わる。
 障害を負った幼い孤児らと肌と肌で触れ合う中、彼らへの愛しさが募って、このまま日本に連れて帰ってこの手で育ててあげたいとの思いに駆られる。