29 「ある異常体験者の偏見」山本七平 読書感想

 本を整理していたら、この本が出てきた。積読していた本を、何気なく手にしたというわけだ。「日本人とユダヤ人」の著者だということは、後年、知れ渡った。「日本人は、水と安全は、タダだと思っている」という指摘は、なるほどと若いころの私をうなずかせた。その後、山本の本は読んでいないので、この硬質の評論家の本を読んでみたいと思い積んでおいたのかもしれない。

 文章展開が緻密で、付け入る余地がないように展開していくスタイルは、独特のものがあった。しかし、全体として、何が言いたいのかが、はっきりしないまま、読み進めた。毎日新聞の新井宝雄の中国寄りの姿勢に、反感をもっ