午前2時
草木も眠る丑三つ時・・・。
白髪を振り乱した彼女は
その髪を整えてから立ち上がる。
90歳を超えた今もなお
美しく、凛としていて、
誰に対しても常に敬語で話す。
そして怖いものなしの気難しい彼女は
嘘やお世辞は言わないが、本音も隠す。
トイレ介助が済み、自室へ付き添う私に
恐縮するほど、賛美ともいえるほどの
誉め言葉を、ほのかな明かりの中、
頬を上気しながら伝えてくる。
「先生・・・わたくし・・・気丈に振舞ってはいても
やはり本当のところ辛いんですよ。
だから、先生のようにしてくれると本当に嬉しくて
涙が出そうに
連載:一人ぼっちの共同生活