お気に入りフリースのコート着続ける  



 牡蠣剥くは身ぐるみ剥ぐに似たりけり  瓜人

 耳の木や身ぐるみ脱いで耳のこる  高柳重信

 蛇の衣身ぐるみ抜けて放心す  中村苑子

 身ぐるみ耕す鼻梁のさ馬を曳き  三橋鷹女

 洗ひ髪身ぐるみ匂ふ姉妹  大塚品子

 冬麗を賜ふ身ぐるみ影ぐるみ  村越化石

 盲われ身ぐるみ黴びる思ひかな  三島牟礼矢

 木の葉髪身ぐるみ脱いで心電図  高澤良一 寒暑

 筍の身ぐるみ剥ぐに夢中なり  郡山やゑ子

 あをぞらに外套つるし古着市  阿波野青畝

 ががんぼの飛行軟着古畳  百合山羽公 樂土以後

 そぞろ寒捨つべき上着なほ着古し  高澤良