ただ彼女は
飲んだカップをかたづけようとしただけだ。
それが座席後ろの洗面台だっただけだ。
それなのに
「ちょっと、やめてよ~!
そんなとこ置くの、あーもう、
カップ持ったまま歩いてきちゃダメじゃん!
まったくもう。」
と言って、鬼のような顔でカップを取り上げようとした。
彼女はシルバーカーを使って歩かないと
いけないことになっている。
自分よりも50歳も年下の赤の他人に
私ならそんな言われ方はしたくない。
すかさず、割って入る
「あ~、すみません、片づけてくれたんですね。ありがとうございます。」
と同時に彼女のうでにそっと手を回