夜、風呂につかりながらパスカルのパンセを読んでいた。「幸福と願望」という断章に、ある言葉を見つけてとても惹き込まれる。
「わたしたちがどんな状態にいても、自然はわたしたちを不幸にするものである。わたしたちの願望が、もっと幸福な状態というものをわたしたちの心に描き出してみせるからだ。」
自然がわたくしたちを不幸にすると書いているが、この自然は人間の本性という自然と解すべきだろう。仏教の視点でいえば、人の煩悩がそうさせる。
「その願望は、わたしたちがいまいる状態に、わたしたちがいない状態の快楽を結びつける。」
わたしたちの幸福とは、つねに今ではないほ
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