昭和ノスタルジー・Ⅵ

  中目黒から渋谷まで



そのとき司門君は新婚さんだった

君と二人で買い物に出かけた

中目黒で混んで来た

僕は君をかばい つり革に必死で摑まってた

渋谷に着いて降りようとした時

君は僕を見ておどろいた顔になった

うつむいた君の視線の先を見ると

隣の男の手をにぎっている

君はあわてて手を離し顔を真っ赤にした

司門君は猛烈にいかった

男は涼しい顔で背を向けている

僕は思いっきり男の靴のかかとを踏んだ

人波に押され男はよろけ転びそうになった

目の前に転がる革靴をホームの向こうまで蹴り飛ばした

君はあわてて洗面所へかけこむ