厨より聞く鳶の声親し

 
 うららかや鴉はトビに追ひつけず  内藤良子

 とんびんにとんびんの輪が付纏ふ  攝津幸彦 鹿々集

 とんび鳴く他は刈田の広がる村  高澤良一 素抱

 とんび来てそのまま過ぐる夏野かな  蝦名石蔵

 ひょろろんと雨の四日のとんびかな  高澤良一 鳩信

 鶯の美声ひょうきんな鳶の笛  アロマ

 歌舞伎正月アンテナにゐるとんび  榎本 享

 国仲の田掻きに舞ふや大とんび  高木良多

 春荒れにとんび揉まれてひようと鳴く  高澤良一 さざなみやつこ

 初景色さらにとんびを加へけり  兒玉南草

 初嵐空のとんびが襤褸市に  岩谷精一