ピーヒョロと鳴いて親しき鳶の笛


 あらたまの空さびしもよ鳶の笛  市堀 玉宗

 しんしんと雪降る空に鳶の笛  川端茅舎

 ふるへ声して夕鳶の笛すゞし  鈴木花蓑 鈴木花蓑句集

 芦の芽のうへに枯芦鳶の笛  岡井省二 明野

 羽根一片 降らし 飛雪の鳶の笛  伊丹三樹彦

 外宮さんの春あかつきの鳶の笛  山田みづえ

 寒鮒を堕して鳶の笛虚空  しづの女

 空知野の早苗ととのふ鳶の笛  中條富子

 枯野の杭打てばしたたり鳶の笛  飴山實 おりいぶ

 語尾すぐに秋風となる鳶の笛  岩岡中正

 高々と鳶の笛ある余寒かな  大峯あきら 宇宙塵

 残寒の山辺なりけり鳶の笛