アンダンテ(稲の旋律)


 主人公「藪崎千華」は、母親の強い希望で幼い頃から音楽の道を歩むが、音楽社会の競争は厳しく次第に自信を失くしてゆく。やがて自分自身をも見失い登校拒否となり、大学中退を余儀なくされる。

 そしてとうとう、一日中家に閉じこもるようになってしまう。日ごとの両親とのいざこざも絶えなくなってしまう。思いつめた千華は、千葉県の水田へ、「誰か私を助けてください。」と書いた紙きれをペットボトルに詰め、「心のSOS」として置いてくる。

 暫くして、この水田の持ち主でありペットボトルを拾った広瀬晋平から手紙が届く。こうして始まった千華と晋平の交流は、千華の引きこもり生