「マンボウ雑学記」(北杜夫著)を読む

「マンボウ雑学記」北杜夫著 岩波新書 
1981年9月25日発行
ー私が「マンボウ航海」で昭和33年の11月初め日本を発ち、フランスのルアーブル港に着いたのは翌年の2月であったと思う。辻邦生氏が先年から留学していたから、私はパリの彼の下宿に行き、4日間滞在した。その間にフランスの精神病院も見学しようと辻氏に案内されてサンターヌ病院に出かけた。
 するとそこに一人の日本人医学生が留学していて、親切に案内してくれたが、その男はずっと後になって加賀乙彦氏だと判明した。
 躁うつ病は分裂病などと違い、完全な妄想を抱いたり幻聴を聞いたりする精神病ではない。要するに