『 レ・ミゼラブル 』~ 激動期の悲惨と貧困

完読してから一ヶ月以上がたち、記憶がややおぼろになったが、それでも登場人物の何人かは強く印象に残っている。冒頭からミリエル司教の仁篤が長々と述べられているが、実質的には釈放されたジャン・ヴァルジャンのディーニュ入りから始まる。人間不信と憎悪の塊の様な元徒刑囚をただ一人迎え入れてくれたミリエル司教を裏切った " 銀の燭台のエピソード "はあまりにも有名であり、この大河小説の要となっている。がしかし寧ろこれによって百八十度回心して有徳の士となり、事業にも成功して市長にまで登り詰めたジャン・ヴァルジャンの変身ぶりに目を向けるべきである。これによって財をなしたこ