1982年3月出版の詩集「あいとゆめ」から
愛の語らい
「むなしいってなに」
君は尋ねる
「空しいということはね
いくら一生懸命に努めても
なんにもならないことなんだよ」
「では さびしいってなに」
「淋しいということはね
あふれる愛の思いが
すこしも相手に伝わらないことなんだよ」
・・・
恋人へ
こころの奥深い森の中に
静かな泉があって
水面は鏡のようで
そっと のぞくと
心の本当の姿がわかるという
泉のそばで
耳をすますと
こころのかすかな悲鳴も
聞こえるという
・・・
みずうみ
夏の夜
満月さえる湖に
真白き小舟を浮かべ
夜霧のかす