影絵なる島の狭間に月上る


 教科書の影絵「ジャックと豆の木」 アロマ

 アラジンの影絵終わりて土用波  安藤つねお

 卓上の静物に影描き込んで アロマ

 うから昼餉の影絵一枚簾の中  中村草田男

 うら山の影絵のきつね雪降らす  穴井太 天籟雑唱

 麗らかな春の花にも影揺れる アロマ

 午後三時人々の影伸びて行く アロマ

 お法会に影絵あるよし朧かな  飯田蛇笏 山廬集

 きさらぎや影絵にうつす指狐  鈴木栄子

 そのなかの城を影絵に遠花火  鷹羽狩行

 チユーリツプ影絵のごとく風を呼ぶ  平川 苞

 われもまた影絵のひとり流燈会  猿田咲子

 一家つど