連載:シニア

「高齢者はお荷物かもしれないけれど」

仕事帰りにガソリンスタンドに寄った。道路を挟んだ向かい側は洗車スペースになっている。そこに警察官がいる。

黙っていられる性格じゃない。
「どうしたんですか?」
「帰り道が分からなくなったみたいなんです。」

まだ若い警察官は携帯で誰かと連絡を取っている。傍には婆様と呼ぶにはまだ早い女性と自転車。

自転車に乗って家を出たが、帰り道がわからなくなった。見かねたスタンドの職員が警察官を呼んだ。そういうことらしい。

テレビの刑事物は大勢で知恵を出し合い殺人犯を追いかけるが、現実にはこうして地味にお年寄りの相手をする。

警察官の苦労を思ったが、同時に何か腑