梅雨深き果樹園にゆき当りたる 石田郷子
梅雨深き胸底といふ見えぬ底 山崎幸子
梅雨深き山をまよへば吾も獣 福田蓼汀
梅雨深き真珠の潮に潮仏 木村蕪城
梅雨深くいまはの一語「ありがたう」 菖蒲あや
梅雨深く窓の風景滴だけ アロマ
硝子張り梅雨の風景雨しとど アロマ
梅雨深く数へて人の百ヶ日 本多栄次郎
梅雨深く壁に帽子の混み合えり 中谷耕子
梅雨深しきのふと同じけふが過ぎ 相馬遷子 山河
梅雨深しことに甘えるサランラップ 穴井太 原郷樹林
梅雨深しさみしくて魚発光す 小澤實
梅雨深し