【書評】『仏像と日本人-宗教と美の近現代-』碧海 寿広 中公新書

本書を読んで、近現代の仏像事情は江戸時代までのものとはまるで別ジャンルのごとく変貌していたのだと再確認しました。

千数百年にもおよぶわが国の仏像の歴史は、明治維新とともに一旦リセットされたといっていいと思います。
神仏分離の名の下に、仏教が明治政府によって引導を渡された仏像氷河期。
それを境にして、日本の仏像は新たな歴史を紡ぎ始めたのです。

本書は、米学者フェノロサによって秘仏の扉が開かれたことにより芸術作品としてリスタートした日本の仏像と、時代に翻弄された日本人との紆余曲折の歴史をわかりやすく解説した、新感覚の解説書です。

従来の仏像書はたいてい