村上鬼城の俳句

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村上鬼城の俳句
村上鬼城は一八六五~一九三八年、東京生まれ。本名
荘太郎。ホトトギス派初期の代表作家。少年の日から
聴覚障害で、代書人の仕事をする。座右の銘として
「心耳」が有名である。八人の娘と二人の息子に恵ま
れる。
【俳句】
松立てて大百姓の門二つ
山畑に朝日大きや鍬始
暖く西日に住めり小舎の者
小百姓の飯の遅さよ春の宵
大門に閂落す朧かな
先祖代々打ち枯らしたる畑かな
闘鶏の眼つぶれて飼はれけり
夕霞烏のかへる國遠し
花散るや耳ふつて馬のおとなしさ
念力のゆるめば死ぬる大暑かな
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五月雨や起き上りたる根無草
石の上にほむら