そして誰もいなくなった

 青柳碧人の「むかしむかしあるところに、死体がありました。」を読了した。著者は小説家で、数学ミステリ「浜村渚の計算ノート」で2009年第3回「講談社Birth」小説部門を受賞して、作家デビューしている。本書は日本の昔話をモティーフとした、少しブラックなミステリーの短編集である。
 「一寸法師の不在証明」:一寸法師をお供に、存生祭に出かけた春姫が下栗村で鬼に襲われる。しかし、一寸法師の活躍で鬼を退治し、鬼から貰った打ち出の小槌で一寸法師は大人の体になって春姫の婿になる。しかし、春姫が鬼に襲われた頃、近くの上栗村で冬吉という男が殺害されていた。検非違使の手先