新田次郎著「栄光の岩壁」(上)を読む、面白い

「栄光の岩壁」(上) 新田次郎著 新潮文庫
昭和51年10月30日発行
ー今のところ、新田次郎の山岳小説を幾冊も読んだが、皆,面白かった。感動した。
ー兄の四郎は岳彦と同じ中学校の4年生だった。
「死ぬってことは、なくなることさ、なくなるから、どうにもならない」
 四郎は、死を虚無的に解釈して、そう言ったのではなかったが、岳彦にはなくなるということが、悲壮感を越えて、なにかすばらしいことのように思われてならなかった。
「君の心がけ次第だが、ぼくには君が立派なアルピニストになるような気がしてならない」
「小父さんの言うことはぼくにはよく分からない」
「それ