飛機の窓雲海の上富士覗く



 晩年のひと日は重し雲の峰  荒原節子

 跳躍の胸反らしたる雲の峰  蘭定かず子

 ポン菓子や町村合併雲の峰  平井奇散人

 建設の鉄骨歩く雲の峰  長谷川鮎

 駆くる子の都電に挑む雲の峰  長谷川歌子

 着陸に立ちはだかりし雲の峰  稻畑汀子

 雲の峰背負ひ秩父路くだりけり  廣瀬雅男

 雲の峰海一枚を鏡とし  山田佳乃

 寂寥や入道雲湧くを見てさえも  勝村茂美

  寝つつ見る空埋めゆくは峰雲らし  篠原梵 雨

 峯雲に亀裂入ることなかりけり 高澤良一 ももすずめ

 早稲の香や夜さりも見ゆる雲の峰  小