夏の疲れが今頃出てきたかな 涼しくなっても時々蒸し暑く かといっても急に冷え込んだり 寒暖の差がしんどい このあたりまだ飯能市栗給ふ 清崎敏郎 さゝやかな鉱山あるや栗拾ひ 河東碧梧桐 せせらぎに戯るる陽や青マロン 林翔 和紙 四万川に一樹の栗はこぼれけり 前田普羅 山の日と八月青き栗のいが 長谷川素逝 暦日 栗焼いて渡世とす南大門の市…
風騒ぐ空と対峙の辛夷かな 今村通子 さんざめく辛夷の花芽散居村 市川稲舟 夕空をさつとひとはき花こぶし 池田光子 銅山の坑口辛夷あかりかな 小林和子 花こぶし煌めきの白際立たせ アロマ 雑木山つなぎ信濃の花辛夷 小林愛子 見るとなく目に入る朝の幣辛夷 阿部ひろし 花辛夷咲き満ちてより風の日々 中嶋昌子 やうやくに芽吹きし辛夷の高さ…
夏座敷空気を踏んで通りけり 林翔 ひるすぎの空気あやうし薄氷 津沢マサ子 稲黄ばむ空気叩きてヘリコプター 右城暮石 散歩圏 ひややかな空気が動く秋の暮 日野草城 澄み渡る空気仄かに秋の午後 アロマ 過疎のこと知らず秩父路空気澄む 平畑静塔 空蝉の中の空気を大切に 谷口愼也 熊ん蜂空気につまずき一回転 金子兜太 山上の空気に冷えしビール飲む …
晩年のひと日は重し雲の峰 荒原節子 跳躍の胸反らしたる雲の峰 蘭定かず子 ポン菓子や町村合併雲の峰 平井奇散人 建設の鉄骨歩く雲の峰 長谷川鮎 駆くる子の都電に挑む雲の峰 長谷川歌子 着陸に立ちはだかりし雲の峰 稻畑汀子 雲の峰背負ひ秩父路くだりけり 廣瀬雅男 雲の峰海一枚を鏡とし 山田佳乃 寂寥や入道雲湧くを見てさえも …