映画「荒野にて」殺処分される馬を助けて叔母の家を目指す

 アメリカにおける社会の断面が見える映画といえる。上層・中層・下層という断面があるとすれば、下層に属する人々の生活が描かれる。

 父親レイ(トラヴィス・フィメル)と暮らすチャーリー・トンプソン(チャーリー・プラマー)15歳の目を通して哀しみの世界がそこにある。

 レイは肉体労働者の風情。小さな家に食品の少ない冷蔵庫、うらぶれた食堂にあるようなパイプ・テーブルと椅子、ぼろぼろの車、チャーリーは、就学年齢なのに学校へは行っていない。

 走るのが趣味のようで、早朝からジョギングを始める。オレゴン州ポートランドの住宅地の中、道路に無造作な車が連なる。幹線道