神田上水を開拓した大久保藤五郎の墓を訪ねる

江戸時代初期、低湿地帯の多かった江戸を、利根川の流れを変えることで大都市に変貌させたのは既述の伊奈忠次・忠治親子だった。しかし土地改良だけではその後の江戸は育たない。住民にとって大切なのは良質な飲料水の確保だった。ここに大久保藤五郎が登場する。

「家康、江戸を建てる」216pには家康と藤五郎の会話が載っている。
「たのみと申すのは、ほかでもない。おぬしは菓子づくりが上手じゃな」、「あ、あ、ありがたきおことば…」、「その上手で、江戸の民々に水を飲ませてやってほしい」、「え?」藤五郎は両手をおろした。「水?」、とっぴな話だった。家康はうなずいて「ものの喩え