年とれば故郷こひしいつくつくぼうし  山頭火

「あうあうあう、あうあうあう、あっ」
「やいやいやい、やっ」
「おねえさーん、おねえさーん、おねえさーん」

奇声、怒号、罵声で目が覚める。
リハビリ病院の早朝。

名称は、リハビリ病院だが、
実質、
認知症高齢者の収容所のようなところでの暮らしも、
2ヵ月目に入った。

明日は別病院で、再発がありそうな肺がんの検査日。
腹はくくっているが、まちがいないとわかった時にも
平常心でいられるか、たいした自信があるわけではない。

いずれにしろ、残された時間は、多くはないはず。
かかわってくれた人たちに、
ごあいさつの手紙を書いている。


S君
お元気ですか