薄雪を総身に纏って富士の山


 満願の高野もみぢに雪が舞ふ  河野友子

 雪の音せず寒さが募る午後  アロマ

 雪の音回転鮨の海鼠美味 アロマ

 なまこ噛む力足らざり雪の音  殿村莵絲子 牡 丹

 パリ中の教会埋め雪の音  対馬康子 愛国

 ふる雪の音のみとなるわさび沢  細見綾子 黄 炎

 ペンはしるよりひそかなる雪の音  西島麥南

 まつ先に病者が知れり雪の音  能村登四郎

 ラテルネに夜をつむ雪の音かすか  石橋辰之助

 暗中に佇ち止まり聴く雪の音  右城暮石 句集外 昭和四十五年

 一代家たることたしか雪の音  村越化石 山國抄

 遠国の雪の音きく初