枡に浮く黄の花びらや菊の酒



 菊の酒あたゝめくれしこゝろざし  星野立子

 菊の酒一杓づゝの回向かな  都甲 久美子

 硝子器に黄菊一輪菊の酒 アロマ

 菊の酒思ひつついま花の酒  後藤比奈夫

 菊の酒酌むや白衣は王摩詰  芥川龍之介

 重陽に不老長寿の菊の酒 アロマ

 菊の酒上げて卒寿を自祝せん  村上三良

 菊の酒人の心をくみて酌  星野立子

 菊の酒醒めて高きに登りけり  闌更

 去来忌や相逢うて酌む菊の酒  茂里正治

 吾子の名のひとも秩父に菊の酒  角川源義

 些かの意地つらぬきて菊の酒  藤本享史

 寿ぎの舞終へて注がるゝ菊の酒  中村芳子