七つの選択肢

 深水黎一郎の「犯人選挙」を読了した。著者は、メフィスト賞出身のミステリー作家であるが、慶應義塾大学大学院後期博士課程単位取得退学(仏文学専攻)、パリ第12大学博士課程研究専門課程(DEA)修了という異色の経歴の持ち主で、「薀蓄」系のミステリーが得意とされているが、マスコミ、特にTV業界の批判を繰り返していることで知られている。本書は多重解決型ミステリーであるが、解決篇の選択肢にファン投票を持ち込んだ異色の作品である。
 築三十年の大泰荘という、古いながらも確執にバス・トイレが完備した四階建てのシェアハウス風で格安のアパートに、男性五人、女性三人の二十歳