紫雲英田を行く農夫の麦藁帽


    「アロマ」の句


 蛤の吸い物に柚子添えて  

 桜海老パスタに和えて美味なるか

 黒い花器連翹生けて艶やかに

 窓外に蜜柑目立って疎らなり

 風舞って花びら散り敷く城下町

 白い蝶のごとく辛夷の花咲いて

 木を包むハクモクレンは満開に

 伊豆の山間に山葵田を見る

 高野山甍に塵なく冴え返る

 母と娘は精進料理に畏まり

 紫雲英田を行く農夫の麦藁帽

 鶯の声幼く朝より一日中
 
 旅の宿露天に和む親子かな
 
 霧流れ朝の露天は朧なり

 青鷺の立つ厨の前の庭


   「松本たかし」の句


 腰かけしまま寝ころびぬ縁