晴れ晴れと暖冬嬉し吾子連れて



 飴ひとつづつ暖冬の母とわれ  鈴木鷹夫 渚通り

 家路の宵のぬかるを知りつつ暖冬  梅林句屑 喜谷六花

 枯菊を抜いて暖冬の日あまねし  内藤吐天 鳴海抄

 山近く住み暖冬の鯉のごとし  飯田龍太

 親たちばかり暖冬の杉ばかり  齋藤美規

 世を恋へば暖冬の月顔なせる  村越化石

 生き神をもちて暖冬の庶民たり  橋閒石 朱明

 石蹴れば暖冬築地本願寺  永易至文

 暖冬が慮外なホテル生みつづく  寺井谷子

 暖冬といふこゑのあり水仙に  高澤良一 石鏡

 暖冬とやわれ健康にあまなひて  中村草田男

 暖冬のいたづらに梅騙され